20年前の沖縄のお葬式では、一般会葬者が400~500人というお葬式は普通でした。ナンカ法要にも足を運ぶのがマナーでしたが、それも20年たった今では変わっています。そのため現在の沖縄香典相場は大きく変わっています。
昔はお葬式+7回のナンカ法要参加が普通だった

沖縄ではもともと自宅でお葬式をするのが一般的でした。
だからお葬式には地元の人が中心となっていろいろな準備が進みましたし、亡くなってから七日ごとに行うナンカ法要もすべて足を運び、仏壇に向かって手を合わせるのが一般的でした。この当時の沖縄のお葬式はその規模がとんでもなかったです。
沖縄に移住する前の私は東京に本社がある湯灌士・納棺師の専門業者として働いていました。
所属していた会社には神奈川・千葉・福島・群馬に支店があったので関東全域の葬儀ホールが私の仕事現場でした。そのおかげでいろいろな葬儀ホールを見てきました。
もちろんこの当時の東京都心部ではすでに葬儀専門ホールでお葬式をすることが一般的になっていましたし、「家族葬」という言葉はまだありませんでしたが、50~100名収容のホールがメインでしたので比較的規模の小さいお葬式になっていたといえます。
ところが沖縄に来て初めて友人のお母さんのお葬式に出席したとき、沖縄のお葬式のあまりの規模の大きさにビックリ!
同じコールセンターで働く普通の20代の友人のお母さんのお葬式なのに、受付にたどり着く前から駐車場待ちの状態。
もちろん受付も長蛇の列です。ようやく焼香所に向かおうとしてもそこも長い列ができています。
とにかくものすごい人が集まっていて、受付を済ませて実際に焼香をするまでに30分ほど待たされました。
でも当時はそれが当たり前でした。ただこの時私はナンカ法要というものを知らなかったので、ほかの職場仲間に「香典は1000円で良い」といわれて驚きました。
ところがそれはお葬式1000円に七日毎計7回行われるナンカ法要にも参加することが前提にあって、そのことを私は全く知りませんでした。
相場をきいたものの「さすがに1000円ではまずいよな」と思って3000円包んで葬儀の香典としたのですが、結局そのあとナンカごとに1000円の香典を持っていくことになったので合計1万円…。これは知らなかったとはいえ痛い出費でした。
つまりこの当時は1000円×8回分(葬式+7回分のナンカ法要)という考えがあったので、1000円でお返し物はないということだったのです。
20年位前からお葬式+初七日+四十九日法要に変わった
その後コールセンターをやめ大手葬儀社に入社し納棺師として沖縄で働くようになった私は、沖縄の葬儀業界が大きく変わるタイミングに立ち会うことになります。
それまで自宅がメインだった沖縄のお葬式でしたが、民間の葬儀専門ホールが出来たことで自宅からホールへとお葬式の場所が変わっていきます。
さらに住宅事情の変化もあり、ナンカ法要に参加するのも初七日と四十九日の2回に変わります。
この時期は香典の相場は3000円が平均でした。ナンカ法要の香典の相場も同じだったので、お葬式に出席すると3000円×3回分(合計9000円)の出費となります。
この当時は大きな職場に勤めていたので1か月に支払う香典だけでも1~2万円になり香典貧乏の時期に突入!さらにこれに結婚式が重なると、本当に家計がピンチでした。
今ではお葬式+繰り上げ法要になった

あれから時代も随分と変わりました。
お葬式の規模も本土と同じように50~100名程度がメインになってきていますし、香典の相場も2000円が相場です。
3000円となるとよほど付き合いがある場合や那覇など都心部でのお葬式に限られます。
さらにナンカ法要も繰り上げ法要が一般的になりました。
家族ではこれまで通りのオキナワンスタイルで四十九日までナンカ法要をしていますが、一般弔問客の受付は初七日の日までというのが慣例となっています。そのためお葬式のお返し物についているお礼状にも「初七日法要の〇月〇日に繰り上げ法要として四十九日法要を行います」という一文がほとんど付け加えられています。
とはいえ昔のように初七日法要まで足を運ぶ人はせいぜい3分の1ほどしかいませんので、ほとんどの場合お葬式の香典費用に繰り上げ法要の香典分を上乗せします。
ちなみに沖縄でもお葬式当日に初七日から四十九日までの繰り上げ法要を行う人も増えてきています。
特に家族や親族がみな県外に住んでいる場合は、東京都心部と同じようにお葬式当日にすべての法要を済ませたいようです。
このような場合は非常にレアなケースなので、お葬式用の香典だけを準備するのが一般的です。
ただこのことを沖縄出身でお葬式の仕事を知らない友人たちに話すと「そんなことはないだろ?」といいます。
でも実際には家族と近親者のみで行う家族葬の場合、沖縄でもこのようなケースが増えています。
現在の香典の相場は「何回足を運ぶか」で変わっている

では「現在の沖縄の香典相場はいったいどのようになっているのか」というメインテーマと行きましょう。
沖縄の香典相場はズバリ「何回香典を準備するか(足を運んで手を合わせるか)」で変わります。
繰り上げ法要が一般的となったとしても、近親者であればやはり初七日と四十九日は顔を出します。
そのためお葬式の香典と併せて1回の香典は3000~5000円が相場です。さらに近親者であれば供花(お葬式会場に飾る花)を出すのも一般的なので、こちらも1対1万5000円が相場です。
ただし沖縄では連名で供花を出すので、1人あたりの負担は5000円~1万円の範囲となります。
一般会葬者としてお葬式に参加する場合は、お葬式以降の法要には顔を出さないという前提で3000~5000円とするのが都心部での相場となっています。
ただ地方に行くとお葬式+初七日または四十九日法要の参加が未だに一般的なので、1回あたりの香典は2000~3000円が相場です。