沖縄の台風って本当に大変なの?
毎年猛烈な勢いを持ったままの台風と接触する沖縄県。被害情報や飛行機の欠航の情報が緊迫した映像と共に届きます。「大変そうだな~」とは思うものの、実際にはどれくらい猛烈なのか想像できない、という方もいるでしょう。
そこで沖縄に住む皆さんのツイッターを覗いてみるとアクション映画のようにひっくり返った車、コンクリートの塀に押しつぶされた車、天井が落ちてしまって廃墟と化したカフェの写真などなど、まるでゴジラが通り過ぎていったのか!?と疑いたくなる光景が広がっていました。実際のつぶやきでは、
- 上の階からラックが降ってきた!
- エアコンのホースが落ちてきた!
- 車があちこちで横転している!
- ホテルの天井が崩壊した!
などこちらも驚きの声がズラリ。どんなに重たい物も紙切れのように吹き飛ばす沖縄の台風。本土にもやってくる台風ですが、被害状況が少し異なるようです。たとえば、本土では河川の氾濫による浸水被害や土砂崩れがよく目にする被害です。一体、本土に来る台風とは何が違うのでしょうか。
沖縄県民いわく、「こんなの台風とは言わない」

一つには発生したばかりのエネルギーを維持したまま接近するので勢力が強いことがあります。台風には強さのランキングがあります。
- 風速毎秒17.2メートル ・・・「台風」
- 風速毎秒32.7メートル以上・・・「強い台風」
- 風速毎秒43.7メートル ・・・「非常に強い台風」
- 風速毎秒54.0メートル ・・・「猛烈な台風」
毎秒17.2メートルとは自動車が時速60キロで走るくらいの速度です。これも結構な速度ですよね。一般的に風速20メートルでは前かがみにならないと押し倒される速度です。ところが、2015年8月石垣島を直撃した台風15号では観測史上最大の瞬間風速71メートルが観測されています。もうこれは車が飛んでも仕方がありません。
二つ目に“台風の目”を経験しやすいことです。“台風の目”とは猛烈な台風の時だけに出現する台風の中心地帯にできる空間のこと。
この中にいる時は無風状態になり、空も晴れるほど。でもこの“目”が通り過ぎるとあっという間に暴風の渦中に。“台風の目”の周辺は猛烈な風が吹き荒れているからです。沖縄にやってくる台風は強いエネルギーを維持しているため“台風の目”を持ったまま接近することが多いのです。
さらに最悪なことに台風の進む速度が遅いのです。本土に上陸する時は偏西風に乗るので寝ている間に通過することは当たり前ですが、沖縄の場合は台風が二日間居座る、なんてことも珍しくありません。二日間もゴウゴウ鳴り響いていたら眠れません。驚いたことに、一旦去った台風がまた戻ってくることもあるのだとか。驚きです。
本土にやってくる台風とは同じものとは思えませんね。沖縄県民が内地で台風に遭遇すると「こんなの台風ではない。」と思うのは頷けます。
沖縄で台風に遭遇したら

実はいちばん台風が発生しやすいのは観光ベストシーズンの8月なのです。沖縄は那覇のモノレール以外は鉄道がなく、全て車での移動ですから、バスが運休になると会社も学校も休みになるというのが慣例です。
不運にも沖縄に旅行中に台風に見舞われた時はまずホテルの確保をします。そして帰りの飛行機の臨時便が出る時の整理券をもらうために空港に行きます。それからこれが大事ですが、傘は絶対にさしてはいけません。風で吹き飛ばされて危険ですから雨合羽を着用しましょう。それが確保できてから食料調達、お風呂に水をため、あとは台風が早く過ぎ去ることを祈るのみです。
沖縄の人たちは慣れているのでとても落ち着いて準備を進めます。もうルーティンワークのよう。長年の台風の経験から家は頑丈なコンクリート作りですし、山の標高も低く、氾濫する川もありません。やはり注意すべきは風なのです。大自然と共に生きる沖縄、すごいですね。